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2014年 05月 25日
前回の投稿から思わぬほど時間が空いてしまった。その間身内に不幸があったり、日本へ飛んだりとばたばたと時間が過ぎてしまった。そして気付けばもう5月も末。あの麗しのヴェネツィアから帰って、早4ヶ月が過ぎようとしている。
今日はヴェネツィアにある超有名バー「Harry's Bar」について書こうと思う。 私たち夫婦が毎冬ヴェネツィアへと飛ぶようになって10年近く。そんなに行っているのにも拘らず、敷居が高くてなかなか入ってみるチャンスがなかったのがこのヘミングウェイも愛したというHarry's Barである。 ここバンクーバーに住んでいるとどんどんとライフスタイルがカジュアル化し、それにつれ精神面や性格までもがカジュアル化してきてしまう。どんなファインダイニングであろうともドレスコードではじかれる、なんてことはまずありえないのがカナダのよい面でもあり、そうでない部分でもある。カジュアルでフレンドリーで皆平等で、それはとても良い事ではあるが、逆に緊張感を持って、背筋を伸ばしてドレスアップして出掛ける、などという機会は日本に住んでいた頃と比べて、比較にならぬほど減った。 そういった点で、逆に日本に住んでいたならば、例えツアー旅行で、ヴェネツィアへの滞在が数時間であろうとも、駆け足で、気後れする事もなくさっさとHarry'sBarへ入ってみたことだろう。 そんな感じでヴェネツィアへ行く度に行ってみたいと思いつつ、Barのことはだんだんと頭の隅に押しやられていたのだが、それが昨年、このHarry's Barの横をたまたま通りかかり、なんとなくふらっと入ってみたならば、やはり噂にたがわぬ別世界がそこにはあった。 別世界といってもその内装が絢爛豪華なわけではない。ただ、入った瞬間デジャヴーのように頭をよぎったのが、あのバブル全盛期の飯倉キャンティの店内であった。 内装はいたって普通。そうどちらかといえば天井低く、コージーで、そして狭くて坐り心地良さそうなシート席。白い上着を着たカミリエーレ達が忙しく働いている。フロアの責任者のような人がテーブルへと案内してくれた。といっても入り口からテーブルまでは歩いてほんの数歩。 ヴェネツィア大運河に面して店があるHarry's Barは、その海からの直接の海風が店内へ吹き込むのを避けるためであろう、入り口がじつに狭く、そして上手く表現できないのだが、まるでドアとドアの隙間を入るような、そんな感覚さえ覚える。が、しかし、その入り口を入ればそこはシックで普通で、そしてそこはかとなくスノッヴな空気が流れる空間が存在する。しかしお店の人はあくまでも丁寧でちょっぴりフレンドリーで、そしてその向こうにはHarry's barとしてのプライドを感じる。 #
by venezi_a
| 2014-05-25 14:38
| 2014年1月ヴェネツィア
2014年 03月 31日
前話に引き続き食のおはなし。
今回はヴェネツィアで一番好きなレストランの事を書こうと思う。 その店の名前はQuatro Feri、レストランといってもファインダイニングではなくもっとカジュアルなお店。そう本来は学生街の魚介類を食べさせるちょっと小洒落たオステリア(カジュアルレストラン)という立ち位置であったのだろう。それがここ数年、あの店は美味しいと評判が広がり、そしてSNSや情報サイトなどで取り沙汰され、みるみるうちにちょっと名の知れたお店となった。 おかげで私の知ってる限りレストランの経営スタイルは10年前となんら変わっていないのに、情報サイトでああだこうだと叩かれ、また本当の魚介類を知らない一見の外国人観光客に、料理が生臭い、と云われ、一時は店側がかなりぎくしゃくした時期もあった。 それでも今回訪ねてみると、そんな事にも店側も慣れたらしく、以前と変わらずちょっと無愛想で、忙しそうで、スタッフの話す英語が判りにくく、そしていつもどおり驚くほど美味しいパスタを食べさせてくれた。 ローマからヴェネツィアへ到着したその日、一旦アパートに荷物を運び込み、それから簡単に荷解き。わずらわしい作業だが、実際これをやってしまわないからには何も始まらない。 そのためにそれも読み込んだ上でローマのホテルで荷造りする時に次に開けたときにすぐに必要なものが必要な順番で明確に判るように詰め込んでおく。これは細かい事だが旅先でストレスを感じないためにかなり大切な事。 差し当たりすぐに使うものなどを所定の場所に置いたら、早速アパート周辺の探索も兼ねて近くのスーパーへ飲み物や翌朝の簡単な食べ物を買って戻り、それからレストランの夕方の開店時間を考えて食事に出掛けた。 頃合いを見計らって行ったのだが、それでも開店の7時半には30分ほど早く着き、周辺を散策して時間を潰す。勿論一年振りのヴェネツィアゆえその30分の時間潰しの散策さえ、わくわくするほど楽しい。今にも雨が降りそうな黄昏どき、幸いにも寒さも思ったほどでなく、ただただ大好きな街にまた帰って来れた、それがじわじわと体に染み渡ってくるような、そんなひとときでもあった。 7時半に店の前まで行けば、ちょうど開店のため顔見知りのお店の女性が入り口ドアを開けるところであった。いつも愛想のない女性だが、それでも毎年通い詰める私達の顔は認識してくれていて、今回も入り口横の道路に面した窓際の2人席に案内してくれた。 じつはこの席、2人で来店した客の特等席なのである。他のテーブルの場合は混んできた場合には相席をしなくてならないのがこの店の暗黙のルール。それを知らずにテーブルに着いて隣の椅子に荷物を置けば必ずあとで客が来るから席を空けておいてくれと云われ、まだガラガラな店内を見渡して不快な思いをする客も少なくない。 しかしこの窓際の二人席はそんな相席を強いられることもなく、また本当に狭いスペースではあるがその部分だけは他から軽く隔離されていて、周囲を気にする事無く料理を堪能できるのである。 ちなみに必ずといっていいほど、時間が経てば店内はほぼ満席になる。 さて、この日も例年と同じく、最初に前菜+パスタを注文した。勿論メインも美味しいシーフードがあるのだが、このお店の場合、メインの大体が魚やイカの丸焼き。日本人にはあまり感動の無い料理である。(私は炉端焼きを思い出す)それにひきかえこの店のパスタのソースは素晴らしいのひと言に尽きる。バンクーバーで主人とも言うのだが、あのパスタを食べるためなら飛行機に乗っても良い、と。 そんな思いで恋焦がれて、やっと辿り着いたこのQuatro Feriで、高まる気持ちを抑えながらまず最初に前菜。 これが前菜で選ぶシーフードの盛り合わせ。これで一人前を取り分けて半分にした分量。これをつつきながらパスタが出来るまでハウスワインを飲むのである。 <後日に続く> #
by venezi_a
| 2014-03-31 14:49
| 2014年1月ヴェネツィア
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